空飛ぶさんしょううお

北から都会に出て来て根っこのはえつつある、しがない会社員の落書き帳です。ノスタルジックだったり頭でっかちだったりしながら思う存分好きなことを好きな表現で書きます。

初夏の装い

ツツジはどうして、こんなに群れるのでしょうか。

道路と歩道との間の一角に、ビルの壁沿いの小さな花壇に、桜が八重も散りきる頃、赤紫のビビッドカラーを全力で振り絞るその垣根はあります。少し前の淡い桜の桃色と対照的なその色から、生命たちのバイオリズムの変容の刺激をおぼえます。往々にして群れを成して咲き、明るく鮮やかな緑の葉とピンクと呼ぶには毒々しいその花は、割合等しく顔を空を向けて、犇めくように窮屈そうに、激しい自己主張をぶつけあうのです。

その様は、周囲への配慮を欠き、我よ我よと頬が潰れ合うほどなのだけれど、互いに譲るということを知らず、開花し散るしかないという本能に逆らえぬまま、ひとつの季節を彩り、自然の夏へ準備する意欲を、買わざるを得ないのです。



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