初夏の装い
ツツジはどうして、こんなに群れるのでしょうか。
道路と歩道との間の一角に、ビルの壁沿いの小さな花壇に、桜が八重も散りきる頃、赤紫のビビッドカラーを全力で振り絞るその垣根はあります。少し前の淡い桜の桃色と対照的なその色から、生命たちのバイオリズムの変容の刺激をおぼえます。往々にして群れを成して咲き、明るく鮮やかな緑の葉とピンクと呼ぶには毒々しいその花は、割合等しく顔を空を向けて、犇めくように窮屈そうに、激しい自己主張をぶつけあうのです。
その様は、周囲への配慮を欠き、我よ我よと頬が潰れ合うほどなのだけれど、互いに譲るということを知らず、開花し散るしかないという本能に逆らえぬまま、ひとつの季節を彩り、自然の夏へ準備する意欲を、買わざるを得ないのです。
160426