空飛ぶさんしょううお

北から都会に出て来て根っこのはえつつある、しがない会社員の落書き帳です。ノスタルジックだったり頭でっかちだったりしながら思う存分好きなことを好きな表現で書きます。

2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

メトロ

電車を降りた瞬間、人は一斉に駆け出し、何かを奪い合うかのように急いで階段を駆け下りて、また一つの電車に吸い込まれていく。左側の通路は改装工事が行われており、人が無我夢中に走る様子を一層滑稽に見せた。大人のエゴによる徒競走で駅は更に騒がしく…

帰省

実家帰るの?いいじゃない、だらだらして、食って寝て、夜中まで起きてて、昼頃まで寝て。なーんにもしない。でしょ? 昔は実家に帰るのが楽しみだった。今は足が重く憂鬱で仕方が無い---こんなこと、本当なら言いたくないが---私はひどく疲弊していた、日々…

カクテル

バーのカウンターの薄暗いテーブルに、季節遅れの鬼灯が、カクテルの本の上に飾られている。今日の季節のフルーツカクテルには、五島芋やラ・フランスが並んでいた。ウォッカをベースにしたとちおとめのカクテルが人気だというのでそちらをオーダーした。春…

解決すること

時に悩んで堂々巡りし、解決の糸口が見つからずに悶えることがある。もしかすると"悩む"ということすら能動的なもので、何もできない、何もしたくないという無気力さしか存在しないこともあるかもしれない。表面張力ぎりぎりまで敷き詰めたガラスのコップが…

悟り

空港に着き、ボーディングブリッジに踏み出すと、急にキンとした空気になる。脚から順に肌の露出した顔まで澄んだ冷たさの中に包み込まれる。歩みを進めると、キャリーバッグと床とが摩擦し、上陸に抵抗しているような重みを感じた。新千歳空港は、搭乗待ち…

行い

胸部が痛む。時たま、胸の中央の少し背中側に激痛が走る。昨日は帰り道、一瞬動けなくなった。肉を食べたあとのようなささくれた骨を思い切り背中に振りおろされたように、局所的なようで細かな痛みが一部に思い切り刺さる。これもまた日々の行いの悪さだと…

睡眠

また、遅刻への緊張感でようやく起きた。気持ちよくすっきり起きることは出来ないものだ。 携帯電話のスヌーズを何度も止めてはまた目覚まし時計をかけてしまう、最初は数十分に一回、どんどん細切れになって、最後は頭のなかで100とか60とかを数える。それ…

悪いこと

煙草を吸わないことと、ピアスの穴を開けないこと。これは、せめてもの親孝行として、守ってきた二つのことだ。自分の身体を傷つけてはいけないと言われ育ってきた。父も母も煙草を吸わない人間だった。親族で唯一煙草を吸うのは父方の祖父だけだった。幼い…

はじめに

お読みいただきありがとうございます。日本の北のほうから大学進学を機に都会に出て来て、そのまま働くしがない会社員です。もう、在学期間と同じだけ社会に出て、折り返したくらいの年齢です。袖鼠(そでねずみ)というペンネームにしました。何個めかわかり…