空飛ぶさんしょううお

北から都会に出て来て根っこのはえつつある、しがない会社員の落書き帳です。ノスタルジックだったり頭でっかちだったりしながら思う存分好きなことを好きな表現で書きます。

ヤな自分の芽生え

「格好悪い」から、押し潰してヘラヘラしてきたけど、根っこで消しきれなかった感情が脳内で字面を追うほど輪郭が明確になって、築き上げたものが薬液をかけられたかのようにとけだして形を失っていく。 自分に自信がないから、好きになれないから、せめて身…

「寂しいときは泣いていいんだよ」

最近、母がよく夢に出てくる。以前は姿が見えるだけだったり表情を確認できる程度だったが、徐々に話し声がしたり、会話をしたり、夢の中で長い時間を過ごすようになった。一度にいろんな夢を見て、どちらかと言うと覚えているほうだが、今日は従兄がなくな…

お弁当箱とその中身。

「始めのうちは、わからないことが何なのかがまず自分で分別がつかないと思います。闇雲に質問するのではなく、今の自分の立場にとって、何の情報が必要なのか優先順位をつけて、分からないところを炙り出してから質問しましょう。また、プレゼン研修の説明…

憂鬱な気分とパンケーキ――代々木のカフェにて

16:30頃、30分ほど早く打合せが終わった。クライアントと、一緒に伺った代理店とでは、別件の話もあるらしい。私は一足早くその場を後にすることを空気的に促された。「あ、こちらまでで大丈夫ですよ」疎外感を封鎖して作りきった笑顔でエレベーターの方向へ…

飲み会ぶっちぎり

飲み会を"ぶっち"した。会社の飲み会だった。皆で移動する時間に耐えられなくて、遅れて行く選択をした。仕事を粗方済ませ、お手洗いに立ち寄った。飲み会の前は必ず、化粧直しをする。アイラインと口紅を整えた。足は依然として重たく、胸の奥はどろどろと…

母の日

なぜかここ最近母の夢を見る機会が増えた。また、微睡みのなか、骨にかわる母の姿を思い出し急に眠気が覚めることもあった。母の日が過ぎるのを静かに待っていた。今年のプロモーションは、4月半ばの早めの時期からはじまった。数年前から流行りだしたプリザ…

海辺の駅、海辺の空

みなとみらい線の駅は、何となく鬱蒼としている。海辺の街に来るには少々薄着すぎた。雨の予報を確認したにも関わらず傘を置いてきてしまった。名刺を切らしかけていることが本日の憂鬱さに拍車をかける。昨日の残りかけの飲み物が、鞄の容積を圧迫する。ホ…

実現性ゼロの脳内シミュレーション

世の中は皮肉だらけだ。思い通りにいく妄想だけをひたすらして、極めた結果通りにすんなりいくことなんてあり得ないのだ。そのギャップに毎度落胆して、無力で憧ればかり強い自分を忌み嫌う。それでも、脳内シミュレーションは止められない。美しいドラマの…

初夏の装い

ツツジはどうして、こんなに群れるのでしょうか。道路と歩道との間の一角に、ビルの壁沿いの小さな花壇に、桜が八重も散りきる頃、赤紫のビビッドカラーを全力で振り絞るその垣根はあります。少し前の淡い桜の桃色と対照的なその色から、生命たちのバイオリ…

強いよね、ってなんだろう?

ーーほんと強いよねー、精神的に。大人だね。強いね、と言われると途端に切なくなる。何故なら、強くはないからである。素直な気持ちを表現したり、意見をぶつけあって口論になったり喧嘩したり、アイデンティティが崩れるようなリスクを避けてきただけだ。…

昔、とても大切にされていたストライプの靴

ずっと頭の片隅にあって、センチメンタルに浸りながらだらだらと文字にしたためたいと思い続けていたのに、そんな気持ちの余裕も持てず、ただ心を亡くした日々を消耗しながら、1カ月くらいが経ってしまいました。###スエードの、斜めのストライプ柄の靴。実…

現実は理想みたいなドラマの美しさを持たない

目の前には淡々と過ぎていった事実しか存在しない。その出来事をどうとらえるかは自分次第だ。コンサートでホールでの演奏聞かせてあげられてよかったじゃないか。おいしいお土産、毎回たらふく買って帰ったじゃないか。どこかに行けばその写真を送ったじゃ…

インターネットとクロール

目の前には分からないモノだらけだ。 そこには膨大な情報があり、そこにある物体が何なのか、私の中で完全体として彩色するために膨大な空間から絞り込むためのキーワードを放り込み、そうすると情報はいくつかは呼び出されるけれどもそれでもまだ多い。そこ…

花柄が好きで、見つけると自慢したくなる話

ガラス越しに好みの服を見つけると、つい店舗のなかに足を踏み入れてしまう。特に花柄が好みだ。ボタニカルのようなはっきり主張するよう好きもいいし、淡く印象派の絵画のような色合いも心を惹かれる。小花が散りばめられた柄も良い。出来れば、何の花か判…

手のひらの傷痕

会社から駅まで、早歩きで5分強。目の前の雑誌にひととおり目を通して、企業名を拾うくらいならまだできる。ギリギリ間に合う。何事も最も大切なことは準備だ、と私は思う。事前に資料を用意すること、そのために何を話すか考えておくこと、起きることを想定…

メトロ

電車を降りた瞬間、人は一斉に駆け出し、何かを奪い合うかのように急いで階段を駆け下りて、また一つの電車に吸い込まれていく。左側の通路は改装工事が行われており、人が無我夢中に走る様子を一層滑稽に見せた。大人のエゴによる徒競走で駅は更に騒がしく…

帰省

実家帰るの?いいじゃない、だらだらして、食って寝て、夜中まで起きてて、昼頃まで寝て。なーんにもしない。でしょ? 昔は実家に帰るのが楽しみだった。今は足が重く憂鬱で仕方が無い---こんなこと、本当なら言いたくないが---私はひどく疲弊していた、日々…

カクテル

バーのカウンターの薄暗いテーブルに、季節遅れの鬼灯が、カクテルの本の上に飾られている。今日の季節のフルーツカクテルには、五島芋やラ・フランスが並んでいた。ウォッカをベースにしたとちおとめのカクテルが人気だというのでそちらをオーダーした。春…

解決すること

時に悩んで堂々巡りし、解決の糸口が見つからずに悶えることがある。もしかすると"悩む"ということすら能動的なもので、何もできない、何もしたくないという無気力さしか存在しないこともあるかもしれない。表面張力ぎりぎりまで敷き詰めたガラスのコップが…

悟り

空港に着き、ボーディングブリッジに踏み出すと、急にキンとした空気になる。脚から順に肌の露出した顔まで澄んだ冷たさの中に包み込まれる。歩みを進めると、キャリーバッグと床とが摩擦し、上陸に抵抗しているような重みを感じた。新千歳空港は、搭乗待ち…

行い

胸部が痛む。時たま、胸の中央の少し背中側に激痛が走る。昨日は帰り道、一瞬動けなくなった。肉を食べたあとのようなささくれた骨を思い切り背中に振りおろされたように、局所的なようで細かな痛みが一部に思い切り刺さる。これもまた日々の行いの悪さだと…

睡眠

また、遅刻への緊張感でようやく起きた。気持ちよくすっきり起きることは出来ないものだ。 携帯電話のスヌーズを何度も止めてはまた目覚まし時計をかけてしまう、最初は数十分に一回、どんどん細切れになって、最後は頭のなかで100とか60とかを数える。それ…

悪いこと

煙草を吸わないことと、ピアスの穴を開けないこと。これは、せめてもの親孝行として、守ってきた二つのことだ。自分の身体を傷つけてはいけないと言われ育ってきた。父も母も煙草を吸わない人間だった。親族で唯一煙草を吸うのは父方の祖父だけだった。幼い…

はじめに

お読みいただきありがとうございます。日本の北のほうから大学進学を機に都会に出て来て、そのまま働くしがない会社員です。もう、在学期間と同じだけ社会に出て、折り返したくらいの年齢です。袖鼠(そでねずみ)というペンネームにしました。何個めかわかり…