空飛ぶさんしょううお

北から都会に出て来て根っこのはえつつある、しがない会社員の落書き帳です。ノスタルジックだったり頭でっかちだったりしながら思う存分好きなことを好きな表現で書きます。

強いよね、ってなんだろう?

ーーほんと強いよねー、精神的に。大人だね。

強いね、と言われると途端に切なくなる。
何故なら、強くはないからである。

素直な気持ちを表現したり、意見をぶつけあって口論になったり喧嘩したり、アイデンティティが崩れるようなリスクを避けてきただけだ。
言わなければならないことや言いたいことは徹底的に穴をしらみつぶしにして、それでも正しいと判断したときに初めて口にする。弱さを見せる隙を最大限に排除して綺麗な自分だけを見せる方法を模索する。そうやって自分の牙城を守り抜いてきただけなのだ。

そもそも「強い」とは何なのか。これは若い頃からずっと考えてきたことだ。私から言わせてみれば、弱みを見せられる忍耐力の方が、逆説的だが、よっぽど強い。弱さを大切な人や友人だけでなく、誰彼構わず伝えることに、何の意味があるのだろう。人はなぜ、人前で泣くのだろう。目の前の人が困惑することが分かっているにも関わらず。

それをずっと、次の二つの理由のためだとと思ってきた。ひとつは、涙を利用して同情や赦しを乞うこと。もつひとつは、そもそも目の前に存在する人々への配慮に欠けている思考の浅い状態であること。

私はどちらにもなりたくなかった。場の空気を呼んで、気を利かせて、私を起点には、誰も不安にならないこと。むしろ誰かが起こした不安も掻き消すこと。

そうやって、誰かの感情のむき出しをひどく避けてきた。それを強い、と言うのだろうか。私にはよく分からない。


160421